前回、オンラインに概念上の空間を作る「仮想空間」について連続したパノラマ写真で空間を構成するグーグル・ストリートビューのような流れも古くから存在することを書いた。さらに、世界を網羅的にカバーしようとするグーグル・ストリートビューの方向性とは別に、特定の地域や興味対象に特化した活用もあるとし、その一例として秋葉原に特化した「AKIHABARA 360 MAP」β版について紹介した。こうした写真を使った手法は見る場所を移動する際にどうしても写真を切り替える形になってしまいスムーズな移動体験にはなりにくいのだが、実際の見た目を確認できるメリットはやはり替えがたいものだ。
そうした中、グーグルが先日公開した「Art Project powered by Google」はまさに実写の利点を発揮したプロジェクトといえる。このプロジェクトは世界の17の美術館の協力のもと、貴重な所蔵作品をオンラインで鑑賞できるというものだ。参加美術館にはニューヨークのメトロポリタン美術館、ロンドンのナショナルギャラリー、アムステルダムのゴッホ美術館などが含まれる。サイトではストリートビューのように館内を歩き、さらに気に入った作品をズームして鑑賞可能。ギガピクセルレベルの高解像度画像で撮影された作品も各美術館に1点は用意されている。筆の跡まで見える迫力は圧巻だ。
さらにあまりアピールされていないが、館内散策では「3Dモード」も用意されており、赤青メガネで立体的に館内を見回すこともできる。あくまでおまけ機能でしかないが演出の味付けとして面白い。
(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)
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