交通機関の発達によって人々は世界中を旅することができるようになった。かつては命がけだった海を越える旅も今では飛行機でひとっ飛びだ。さらに近年ではネットサービスを使うことで実際に移動すらしなくてもよくなってきている。グーグルのストリートビューなどはその最たるものだ。世界各地の景色を眺めながら道をクリックで「歩いて」いると、あたかもそこに行ったような気分になる。旅行で行った場所をストリートビューで辿りながら思い出に浸ったことのある人も多いだろう。
オンライン上に概念上の空間を作る「仮想空間」というと、アバターが動き回る「アメーバピグ」のような技術が思い起こされるが、ケースによっては写真を使ったストリートビューのような形が適していることも多い。現実空間をインタラクティブなパノラマ写真として見回せるアップルのマルチメディア技術「QuickTime VR」も同様だ。世界の観光地やホテルの施設案内などにも利用され、写真で見られるために現地の雰囲気もわかりやすい。
先頃公開された「AKIHABARA 360 MAP」β版は、いわば「秋葉原専門ストリートビュー」ともいえるサービスだ。街並みだけでなく、各所のメイドカフェ店内も見ることができるのはストリートビューにはないコンテンツといえる。アキバはすでに一部では世界的な名所になっているが、こうしたサービスは国内のユーザーだけでなく、海外からの旅行者にもいい予習になる。ストリートビューが普及した今こそ、街の紹介をストリートビューまかせにするのではなく、観光地それぞれの特色が求められているのかもしれない。
(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)
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