2009年4月1日、Webブラウザ「Opera(オペラ)」が顔の表情だけで操作できるようになったというニュースが流れた。デモ動画も同時に公開されて話題と笑いを呼んだものだが、実際にリリースされることはなかった。エイプリルフールのジョークだったからだ。こうしたカメラで捉えた動きで操作するというアイデアは以前から試されてきたが、なかなか実用域に達することはなかった。
しかしようやく使えそうなものが出てきた。先日ラスベガスで開催されたエレクトロニクスの見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」でマイクロソフトから発表された「Avatar Kinect(アバターキネクト)」がそれだ。Kinectは2010年11月に発売されたXBOX360用のデバイス。カメラでとらえた人間の動きを3次元で認識することができ、ゲームコントローラーを持たずに身振り手振りで操作できるというものだ。
「Avatar Kinect」はKinectを使った、いわばオンラインアバターコミュニケーションサービスの一種で音声でチャットしながら身振りすると同じようにアバターが動くだけでなく、表情も反映される。従来のアバターを使った音声チャットサービスはアバター操作の煩雑さがネックだったが、Kinectによってコントローラーなしの操作が実現され、アバターのメリットが最大限に生かされている。操作デバイスの課題は以前より指摘されていたが、Avatar Kinectは、ある種オンラインアバターコミュニケーションの理想型といえるのではないだろうか。
(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)
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