ビデオデッキの例を出すまでもなく新しいメディアの普及にはアダルトコンテンツが少なからぬ影響を与えている(といわれる)。3Dバーチャルワールドも例外ではなく、数年前のセカンドライフも一部でアダルトコンテンツが人気を博していた。もっとも、2009年4月にアダルトコンテンツに一定の規制がかけられるようになってからはかつての勢いはなくなったようだが、アバターによる疑似体験価値は一定の支持を得ていたといえるだろう。

 実はこうした複数ユーザーがオンラインでアダルトな出会いを楽しむ3Dバーチャルワールドは10年以上前に始まった。1999年に開始されたバーチャル・セックス・クラブ『XRave』がそれだ。当時のCEOは「私たちは、あなたが未だかつて体験したことのない人生を経験できる、没入できる環境を提供する」と米WIRED NEWSのインタビューで答えている。が、うまくはいかなかったらしい。考えられる理由のひとつに開始時から指摘されていた高すぎる要求PCスペックがあるだろう。そう、現在と同じことがいわれていたのだ。技術が進歩しても人間の欲求がまだ先を行っている、ということなのだろうか。

 そして今も世界ではいくつかのサービスが挑戦を続けているが、日本からも2010年12月にDMMが「バーチャルセックスクラブ」の提供を開始した。ただの3Dアダルトコンテンツではない。オンラインで他のユーザーと会える、本物の3Dバーチャルワールドだ。

 果たして長期的な成功を収めることができるのか、大変に興味深い。

(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)

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