【このエントリーはCNET読者ブログ(2010年6月閉鎖)に掲載していたものです】
ネットに飛び交う大量の情報をどのように整理していくかということは、ネットが普及し、生活の一部になり始めた頃からの課題となっている。そして様々な技術・手法・ツールがこの課題の解決を目指してきた。RSSやタグといったものはその最たるものである。こうして処理された情報は主に「ディスプレイ」を介した視覚情報として提供されているが、ここにもうひとつの課題があるように思う。
つまり、ネット上の情報処理については数々の技術が使われるようになっている一方、ユーザーへ情報をフィードバックするインタフェースについてはほとんど変化していないのだ。ネットの情報をより利用価値のあるものにするためには、この「ディスプレイ」を見直す必要があるのではないか。
加えて、携帯電話などの小さなデバイスにおいては、ディスプレイのスペースをどのようにとるかというデザイン上の制約にもなっている。携帯電話のスタイルがかつて主流だったストレート型から、ディスプレイのスペースをとりやすいというメリットによって折りたたみ型へ移行したという事実からもこれはわかる。
ところが、こうしたことを私たちはあまり意識することなく今もディスプレイを利用している。しかし、それは「ディスプレイ」という概念が既に「常識」として定着しているために「そういうものだ」と思われているに過ぎないのかもしれない。ならば、この既存のディスプレイという概念をなくせば、もっと直感的な情報インタフェースの実現が可能になるのではないか。
例えば極めて直感的に情報を伝達できる「タンジブル・ビット」と呼ばれるデバイスがある。見た目はただの玉のようだが、これがある株価に連動し、赤みがかったり青みかがったりする。株価の数字を読まなくても、視界の端で玉をとらえていれば状況の変化を知ることができるのだ。これはかなりの情報圧縮ではないだろうか。この概念の応用によって限られたスペースで多くの情報を扱うという問題はかなり解決できるだろう。(参考1)
また、インタフェースの問題に関しては「タッチパネルディスプレイ」も情報とユーザーを直感的に繋ぐひとつの方法である。タッチパネルディスプレイはかなり昔からユーザーインタフェースを劇的に改善させるものとして注目されていたが、個人向けデバイスではPalm以外になかなか成功例と呼べるものがでていなかった。
ところが、近年、タッチパネルディスプレイに光明が見えてきたように思う。幾度か商品化されるたび、「登場が早すぎた」ために消えていった「タブレットPC」もようやく事態が好転してきた。タッチパネルディスプレイを搭載したNintendoDSも、これまでのゲーム機にない操作感で簡単に操作できることから人気を集めている。
そして、最近では複数点をタッチすることができるタッチパネルディスプレイも開発されている。どんなことができるのかはデモ動画(参考2)を見てもらえればわかるが、この変化は単純なようで様々な可能性を持っている。例えば、普通のキーボードではできるのにソフトキーボードではできなかった「Ctrl+C」といった複数キーを使った操作も可能になるのだ。
アップルコンピュータ社もタッチスクリーンに関する特許を取得したという(参考3)。今は比較的単純な操作系にのみ利用されている古くて新しい「タッチパネルディスプレイ」がインタフェースの主流に仲間入りする日も近いのかもしれない。
参考1:
■MIT卒業生による新興企業、一目で情報が分かるオブジェ型無線機器を発表
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20063623,00.htm
参考2:
■Multi-Touch Interaction Research(デモ動画)
http://www.youtube.com/watch?v=iVI6xw9Zph8
参考3:
■アップル社の新製品、革新的タッチパネルを採用?
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20060213301.html
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