宇宙の話題をメディアで見聞きする機会が増えた。背景には某映画の公開に向けたPR活動や金環日食といったイベントの影響もあるだろう。しかし、同時に聞こえてくるのは「NASAがスペースシャトルの代わりに民間企業が開発したロケットを使うらしい」とか「あのヴァージン・グループの宇宙旅行会社の宇宙旅行がいよいよ年末から始まるらしい」とか「映画監督のジェームズ・キャメロンも出資する会社が小惑星の資源開発を計画しているらしい」など、民間企業による宇宙開発の話題だ。国がやるものという認識が強かった宇宙開発も、今や民間企業が手掛ける時代になった。
こうした宇宙開発に対する興味はIT分野にも広がっている。そのひとつが先頃開催された「インターナショナル・スペース・アップス・チャレンジ」だ。これはNASAなどが提供する宇宙観測データを活用して、テーマに沿ったWebアプリを1日で開発するという、いわゆる「ハッカソン」形式の開発イベント。全世界で同時に開催され、開催地には国際宇宙ステーションや南極基地も含まれていた。東京会場では13チームが参加し、審査の末、国際宇宙ステーションからの眺めを実物大の窓で再現する「CO-CUPOLA(コ・キューポラ)」が最優秀賞を勝ち取った。これらも実生活の様々な問題や興味に宇宙環境を活用する、立派な「宇宙開発」といっていい。
来年にはカナダの企業が宇宙からリアルタイムの映像をAPI経由で取得できるWebサービスを開始するという。宇宙旅行に行けなくても様々な場面でネットと宇宙が繋がることで、宇宙が身近に感じられるようになりそうだ。
(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)
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