先頃、新しいiPadと共にApple TVもアップデートされた。アップルのCEO、ティム・クックがApple TVを「ホビー」と語る通り、自由にアプリを開発できないApple TVがエコシステムの中心になることはしばらくないだろうが、一方でアップルが本格的な「テレビ」を発売するのではないかという噂も絶えない。また、2012年初頭のCESでもスマートテレビの展示も盛んであったといい、分野としてもテレビへの注目は依然として大きい。
本欄で以前指摘したように、家庭で最も大きなディスプレイを持つテレビは、「ながら見」のような受動的な情報消費スタイルに最適だ。「Pinterest」のように画像を視覚的に一覧するには特に合っている。検索や共有など、能動的な情報消費スタイルに注目する現在のネットユーザーとは異なる、より広いユーザー層に受け入れられる可能性がある。
しかし、スマートテレビには大きな課題がある。日本国内のデータだが、内閣府の消費動向調査(平成23年3月実施)によれば、世帯あたりのテレビ台数は2.39台もあり、平均使用年数は9.3年と長い。買い替えがされにくい製品だ。
だが、そもそも「テレビ」である必要はなく、大きなディスプレイがあればいい。Apple TVで自由にアプリがに使えるようになれば解決しそうだ。今でもノルウェイのFXIテクノロジーズ社が開発するUSBメモリサイズのPC「Cotton Candy」のようにテレビに直接繋げる超小型PC(?)もある。現在のネットサービスはスマートフォン対応が重要視されているが、フルHDのテレビ画面対応が求められる時期も近いかもしれない。
(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)
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