ジェームズ・キャメロン監督が「タイタニック」以来、12年ぶりに送り出した映画「アバター」。映画の3D化を決定付ける作品として好調ですね。北米では公開から3週連続で興行収入ランキング1位を獲得。全世界あわせて史上最速の10億ドル達成とか。
というわけで、「アバター」を読んでみました。
はい、3D映画とはまったく関係ありません。
こっちのアバターはモバゲーとかでいうアバターのこと。アイテムで着せ替えたりできる、アレ。
導入部のあらすじは、
高校入学以来、いじめられないように、目立たないように、クラスで息を潜めてすごしていた主人公の阿武隈川道子は、携帯を持ったことを機に、クラスの支配者的存在の阿波野から強制的に紹介されたSNSサイト「アバQ」に登録させられる。しかし、道子はそんな自分のアバターでもきれいにしてやりたくなり、コツコツと努力してアイテムを買っては小さな達成感を得ていた。
しかし、ひょんなことからアバターのカリスマとなった道子は次第に暴走していき・・・、
といったもの。
ところで「ひょんなこと」の「ひょん」ってなんなのだろう。
調べてみるといくつか説はあるらしいのですが、そのひとつは「イスノキ」という植物の別名「ヒョンノキ」からきたというものだそうです。この植物の実が意外で奇妙な形をしていることから、意外で奇妙なことを「ひょんなこと」というようになった、と。少々ネガティブな意味を込めた「凶」の中国語読みからきている説もあるそうです。
それはそうと、
「アバター」ですが、モチーフは面白いのですが、全体的にそれ自体の説明にさく部分が結構多い印象を受けます。「モバイルSNSのアバターってこういうもんだよ!」「アバターアイテムについてこんな風に思うんだよ!」というような、他の題材であればある程度読者の常識に任せていいところも書かざるを得ない点が足かせになっています。
世代差もありますが、アバターという言葉は広まっても、まだアバター周りの価値観って一般的じゃないんだなー、ということに改めて気づかされました。
多分、作者の山田悠介さん自身もそこまで登場人物の心理を理解して書いているわけではないような・・・。(失礼)
逆に、これを読むと、かなりオーバーとはいえ「あー、そんな感じなんだー」ということがわかると思います。
ラストは・・・
結局、価値観てそういうことだよね、という。
小中高は特に煮詰められた空間だから如実に現れるけど、日本だって、世界だって、外から見ればそういうこと。
その意味では普遍的な物語です。
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