「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督が12年ぶりに世に送り出したフルデジタル3D映画「アバター」をIMAX 3Dで観るべく、川崎の109シネマズ川崎まで行ってきました。
3D映画にはいくつかの方式があって、現在主にはDolby 3D Digital Cinema, REAL D, XpanDなどがあります。今回のIMAX 3Dはそれらとはまた別の方式。Twitterで多くの人が「IMAX 3Dで観るべし!」というので、ちょっと足を伸ばして行ってみました。ただ、とれた席の場所があまり良くなく、堪能できたとは言いにくいのですが、綺麗さ・鮮明さは分かりました。先週、渋谷シネパレスでクリスマス・キャロル3DをXpanD方式で見ていたのと比べると、それよりもきれいです。が、上映環境なども含めての評価なので、純粋に方式の差ではないかもしれません。とはいえ、XpanD方式は液晶シャッター方式のせいかフレームが太めなのでフレーム近くのレンズの汚れが拭きとりづらく、汚れていることが多いのが気になります。その意味でも個人的にはXpanD方式はあまりいい印象を持っていなかったりします。
で、アバターの感想をちょっと。
ネタバレになるかもしれないので、未見の人は読まない方がいいかもしれないです。
総括すると、かなり面白かったです。
上映時間が162分と長めなせいか、前半はテンポがかなりゆっくりしていて「こんなんで終わるのかな」という感じだったけど後半で一気にペースアップ。3Dの臨場感を十二分に発揮して、そのままクライマックスに突入します。3Dアトラクションにありがちな「なにかが目の前に飛び出してくる」というような過剰な3D演出がないのも内容に集中できて好感が持てます。とはいえ、ストーリーは複雑なわけではないので、そこには期待しすぎない方が吉。非常にエンターテイメント的です。
ジェームズ・キャメロンは自身で3D撮影用システム「フュージョンシステム」を開発するなど、3Dには特に力を入れていたキーマンのひとり。さすがです。ちなみにフュージョンシステムは昨年日本でも公開された3D映画「センター・オブ・ジ・アース」でも使われました。
ところで、シナリオ制作の手法を説いた、シド・フィールドの「スクリーン・プレイ」の邦訳である「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」には、セオリーとして以下のような内容が書いてあるそうです。
「作品全体の前半四分の一を占める第一幕では、主人公のもともとの状況を描写する。そこで、ある事件が起きて主人公を取り巻く状況が変化することを余儀なくされ、主人公は選択を迫られる。ここでの選択は、一度選択してしまうと元の状況には二度と戻れない(ポイント・オブ・ノー・リターンの設定)。主人公の、変更の利かない選択とともに、第一幕は終わり、本格的に事件が動く第二幕が始まる。」
「アバター」はまさにこれに乗っ取った展開で、ある種期待通りに進んでくれます。もちろん、流れが平坦なわけではないのですが、奇をてらわない分、悩むことなく楽しめるのがいいです。
映画に高尚なメッセージや作品性を求める人には物足りないかもしれませんが、新しい表現であるデジタル3D映画の初期を代表する作品になることは間違いありません。一見の価値ありです。
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