「.日本」ドメイン名の新設などをテーマにした「21世紀におけるインターネット政策の在り方~新たなトップレベルドメイン名の導入に向けて~(案)」に対し、パブリックコメントを提出しました。
■総務省|21世紀におけるインターネット政策の在り方~新たなトップレベルドメイン名の導入に向けて~(案)に対する意見募集
ちょうど、初等中等教育機関用の「ED.JP」ドメイン名や汎用JPドメイン名(「.JP」)の新設時期にJPNICやJPRSにいたのでドメイン名周りは地味ながらも興味のある話題なのです。既存のドメイン名登録者や商標・商号登録者に対する優先登録手続きを導入したのはおそらく汎用JPドメイン名が最初です。いや、ほんとに大変でしたw が、あの当時の苦労話はここではとても書ききれないので割愛しますw
現場を離れてかなり経つのと、パブリックコメントの締め切りが明日だと聞いて急ぎ書いたので、コメントとしては甘いですが、気になった部分については書けたつもりです。(といいつつ、まだあるにはあるけど・・・)
コメント本文は以下に。
■「.日本」運営業務の基本ルールに定める優先登録手続きについて
類似ドメイン名の存在によってネット利用者が誤認混同することを防ぐために一定の効果があるようにみえますが、汎用JPドメイン名導入時とは大きく違う点がひとつあります。それは当時、それまでの主流であった属性型JPドメイン名(CO.JP等)と新設される汎用JPドメイン名(「.JP」)がそもそも酷似していたという点です。このため「sample.co.jp」と「sample.jp」の誤認混同が現実的に懸念されました。
しかし、一方で現在もトップレベルドメイン名が異なるものは多く存在しますが、これらはすでに別のドメイン名として問題なく認知されています。
(例:sample.com / sample.net / sample.tv 等々)
だとすれば、今回導入される「.日本」等は見た目にも大きく異なるため、新しい体系として認知される可能性が高く、第2章「3 業務運営の基本ルール(1)『.日本』と『.jp』の関係」にあるような誤認混同を起こす恐れは低いと思われます。
見た目にも新しい「.日本」等のドメイン名は、第1章「4 ドメインの多様化の効果」にあるような新たなドメイン名空間新設の有効性を最大限に発揮するためにも、JPドメイン名登録者の優先登録手続きはないほうがよいと考えます。また、優先登録手続きを設けることは、見方を変えれば現JPドメイン名に対し「(組織ラベルを)守るためには登録しなければいけない」という重圧をかけることにもつながり、現JPドメイン名登録者は手続きがあることで、単純に追加の出費を迫られることになります。その結果、せっかくの新規ドメイン名空間の有望なラベルが防衛目的で登録され、バリエーションが狭められることになるのは不幸なことです。
「組織ラベル」等といったドメイン名構造を基にした議論は一般利用者にとっては意味がありません。利用上はフルドメイン名で誤認混同がおきなければよいのであり、特徴的なトップレベルドメイン名を持つ本ドメイン名においては、すでにその目的を達しています。よって、誤認混同を防ぐ目的での既存JPドメイン名登録者の優先登録手続きは必要ないと考えます。
ただし、知的財産保護の立場から見た商標・商号保護についてはこの議論からは除きます。
■管理運営事業者の選定方法
私は技術者ではないので詳しいことはわかりかねますが、レジストリデータベースに関し、技術的にはレジストリを複数事業者で運営することも可能という話も聞きます。
健全な業界発展のためには安定性等を担保したうえで適切な競争原理が働くことが望ましいと考えます。それでも単一事業者を指定する場合、技術的課題を単一指定の理由とするのであれば、そうした検証を十分に行い、説明を尽くす必要があると考えます。
■全体を通して
独立行政法人「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)を文部科学省から内閣府に移管する計画が断念されました。移管計画は宇宙開発の活用範囲を拡大することを目的としていたものだっただけに、結果的に省益が優先された形になり、残念に思います。一方で既に社会インフラとなっているインターネットについても同様の懸念があるように思います。
ぜひ、今後も省益よりも国益、またインターネットで繋がる国際益となるような方策実施をお願いしたいと考えています。
箱田雅彦
最新コメント