【このエントリーはCNET読者ブログ(2010年6月閉鎖)に掲載していたものです】
インターネットで扱えるデータ形式は初期のテキスト中心から、回線帯域やPCスペックの向上によって、音声、画像、動画と進んできた。これに伴い、インターネットを介した表現の幅が広がってきている。視覚表現として、2Dの表現形式は軒並みカバーした印象だ。
ただ、2Dにもうひとつ軸を加えた「3D空間」に関しては期待が語られながらなかなかその力を発揮できずにいた。過去にも数度、3Dのネット表現の流れがありつつも完全な一般化には至っていない。
しかし、そうした状況にも少しずつ変化が現れてきている。
それは外部環境の変化だ。
回線帯域、PCスペックはすでに実用域に入ったといっていい。それ以外に重要なのは「3D」という表現が一般にも受け入れられつつある、ということだ。
例えば、歴史ある映画産業が3D化に向かいつつあることが大きい。日本でも昨年秋に全国公開されたフルデジタル3D映画「センター・オブ・ジ・アース」を皮切りに今後、多くの3D映画が公開される。3D化しやすいCG映画は特にその傾向が強く、ディズニーも例外ではない。2009年12月には「タイタニック」のジェームズ・キャメロンが監督する3D映画「アバター」の公開が予定されている。また、3D映画は商業的にも成功している。
映画というメジャーなエンターテイメントによって「3D」コンテンツの受け入れが進みそうだ。
こうした状況を反映してか、既に3Dが当然になっていたゲーム分野以外にも、ユーザー間のコミュニケーションに主たる目的を置くアバターコミュニケーションサービスの動きがでている。
例えば、2008年12月に開始されたソニー・コンピュータ エンタテインメント(SCE)のPlayStation Homeは、サービス開始1ヶ月で仮想アイテムの売り上げが100万ドルに達した。また、3月16日にはYahoo!ショッピングとセガの3D空間サービス〔iA〕の連携が発表されている。
既存のサービスを使うのではなく、企業が独自に3D空間を自社サイトに組み込む方法もある。こうした方法を提供する3Diが提供する3D仮想空間サーバー「3Di OpenSim」は今まさにWebと連携する3D空間ビューアーのオープンβテスト参加者を募集中だ。協力者にはiPod Shuffleなどが当たるプレゼント企画も用意されている。こうしたサービスは機会を利用して実際に触った方がわかりやすい。
ただ、インターネットで3D表現を使う場合は映画のように3Dにしただけでは、ネットとの組み合わせによる真の価値を引き出したことにはならない。これまでのテキスト/音声/画像/動画も、パッケージメディアにはないインタラクティブ性やダイナミック性などインターネットならではの特色を活用することで新しい体験価値を生み出してきた。
これらが実現されることで、表現が増えることによる幅の広がりとともに、体験の深さも提供することができるようになるだろう。
参考:
■最新版「3Di OpenSim」オープンβテスト 参加ユーザー大募集
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