【このエントリーはCNET読者ブログ(2010年6月閉鎖)に掲載していたものです】
「Googleと宇宙の関係」と聞いて思い浮かべるのはなんだろうか。
黒い宇宙空間にぽっかりと地球が浮かぶ、「Google Earth」のスタート画面?またはGoogle Mapsの月面版「Google Moon」や火星版「Google Mars」?
いや、実はもっと宇宙に近い場所にGoogleはいる。
・グーグル、NASAと提携–月面版Google Earthなどを開発へ
GoogleとNASAの提携に関しては以前も記事となっていたが、それがこの度正式なものとなった。記事中にあるように、まずはGoogle Earthのあの浮遊感が月面や火星でも味わえるようになる見込だ。その他にもNASAの膨大な宇宙関連資料に一般の人が快適にアクセスできるように情報を整理することも予定されているが、これはGoogleが自らのミッションとしている「世界中のすべての人があらゆる情報にアクセスできるよう手助けすること」の流れにも沿っているものだ。
ところでGoogleと宇宙の関係はこれだけではない。
ここまでに出たものも含め、例を挙げていく。
■Google Earth, Moon, Mars …
昨年から今年にかけ、もっともホットだったGoogleサービスのひとつといえば、やはりGoogle Earthだろう。筆者は正式発表前にとあるセミナー会場で見る機会があったがその時の衝撃は忘れられない。宇宙の視点から近所の建物までスムーズにズームして行く様は、それまで頭の中の理想でしかなかったのだから、その時は本当に久しぶりに驚いた。
さらに、画面インタフェースはGoogle Mapsのものになるが、「Google Moon」と「Google Mars」を相次いで発表。宇宙探索の想いをかきたてた。
・グーグルが3D表示可能な地図ソフト「Google Earth」を提供開始
・アポロに乗らずして月面サーフィン–グーグルの新サービス「Google Moon」
・グーグル、月に続いて火星の地図も
■NASAと提携
今回の正式提携の前に発表された段階でも大きな注目を集めていた。ただ、そのころは具体的なサービスイメージがわかなかったのも事実で、その点で具体性が出てきた今回のニュースはより現実的な印象をもって迎えられたように思う。
・ギーク夢の競演–NASAとグーグルが共同で研究開発へ
・グーグル、新キャンパス建設へ–IT業界のジンクスは破られるか
■インターネットの父、ヴィント・サーフは宇宙を目指すか。
一般にはなじみが薄いかもしれないが、Vint Cerf(ヴィント・サーフ)はインターネットの通信で使う基本プロトコル「TCP/IP」を他の研究者と共に設計したことで「インターネットの父」と呼ばれる。ネットの世界ではまさに「超」のつく大物だ。ヴィント・サーフは現在Googleに所属し、新たな開発にも取り組んでいるが、そのひとつが惑星間通信といった宇宙空間をベースとしたものだ。誰が言ったかは忘れたが、IPネットワークの「IP」は、今は「インターネット・プロトコル」の略だが、人類が宇宙に広がって通信するようなころには「インター・プラネット(惑星間)」の略になっているだろう、という冗談もある。
以下の記事によると、ヴィント・サーフは「世の中に既にインターネットが存在し、自分も若かったなら、今頃は宇宙に目を向けていただろう」と語ったという。
・Cerf’s up at Google
・グーグル、またも大物獲得–今度は「ネットの父」V・サーフ
・インターネットの父V・サーフ、今の関心は宇宙に
■Google、月の研究所で人材募集中
Googleでは月に設置予定の研究所で人材を募集している。以下のページでは「なぜ月なのか」などの説明が数ページ渡って書かれており、どこまで本気なのかと思わされる。
が、案外本当に本気なのではないかと、期待を込めて考えてしまうのは仕方のないことだろう。
・Google Copernicus Center is hiring
■Google創業者ラリー・ペイジ氏とX PRIZE
Google自体は宇宙機の開発をしているわけではないのでこれまで忘れていたが、Googleの創業者ラリー・ペイジ氏は民間宇宙開発を推進する団体、X PRIZE財団の理事でもある。
・X PRIZE FOUNDATION:Board of Trustees
■X PRIZE CUPに出展!
Googleは2006年10月に開催された民間宇宙機イベント「X PRIZE CUP 2006」で「Google Earth」「Google Moon」「Google Mars」を展示していた。
また、X PRIZE CUPのサイトではGoogle Earthと組み合わせ、スペースシャトルや、アポロを打ち上げたサターンロケットの3Dモデリングを見ることができる。中には計画中の宇宙エレベーターもある。
・X PRIZE CUP – 3D Space Models
今年のX PRIZE CUPの様子
・「やっと!?」X PRIZE CUP(X プライズカップ)2006報告
■おまけ
Googleの検索窓で計算ができることを知っている人は多いだろうが、人生、宇宙、すべての答えさえも瞬時に出してくれるのだ。うそだと思うなら、Googleの検索窓に「人生、宇宙、すべての答え」と入力してみるといい。その答えに納得するかはあなた次第だが。
ところで、IT系企業と宇宙というとこれまでにもいろいろな例がある。
Paypal社の創業者であるイーロン・マスク氏はスペースX社でロケットを開発している。アクションゲームのDOOMやQUAKEを開発したジョン・カーマック氏はアルマジロ・エアロスペース社で垂直離着陸型の宇宙機を開発している。アマゾン・ドットコム社CEOのジェフ・ベゾス氏はブルー・オリジン社で同じく垂直離着陸型宇宙機を開発している。マイクロソフトの共同設立者であるポール・アレン氏の資金で開発されたスペースシップ・ワンは、既に2004年に宇宙に到達している。
しかし、これらはすべてIT系の会社としてではなく、個人の資産で行ったものだ。
対して、GoogleはGoogleとして宇宙に関わろうとしている。この点が大きく違うところだ。そしてGoogleのミッションをきちんとふまえた関わり方になっているところにぬかりのなさを感じる。
以前、少々皮肉めいたニュアンスで描かれている、地球を支配したグーグルボット(検索のためのページを集めるロボット)の絵を見たことがあるが、いまやGoogleは宇宙にも、その範囲を広げようとしている。
果たして、Googleは宇宙でなにを見つけるのだろうか。
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