今年に入り、テレビ番組でゲーミフィケーションやシリアスゲームが採り上げられることが続いた。各番組には専門家による解説もあり事例を交えながら基本を伝えるという意味では十分な内容であったと感じたが、「シリアスゲーム」と「ゲーミフィケーション」をそれぞれの番組が単独で採り上げていたため、概念が似ているだけに後々混乱する人もいるように思う。実際、両者の違いについての質問をよく受ける。

 両者の違いは簡単にいえば「矢印の方向の違い」だ。シリアスゲームはゲームというパッケージの中に題材として実用的な知識といった情報をいれ、ゲームをプレイすることで情報を得る、というもの。ユーザーはあくまで「ゲーム」をプレイしている。

 対してゲーミフィケーションでユーザーが意識する目的は「毎日のランニング」などゲーム以外のものだ。目的に対して継続してモチベーションを保ちながら取り組むためにゲームで培われた体験デザイン手法が活用されている。

 ゲームの中に取り込むのか、ゲームの手法を外に出していくのか、イメージを整理することでそれぞれの利点も捉えやすくなる。

 印象が似た用語には他にも「ゲームニクス」や「ARG(代替現実ゲーム)」といった言葉が出てくることもあり、なかなか面倒だ。これらの用語をビジネスの場で使う際には、それが実際に「どのように用をなすか」について具体的に補いながら認識がズレないように気をつけるべきだろう。バズワードとして使ってしまいがちではあるが、本当にそのビジネスに有用であるならば伝わるはずだ。

(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)

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