iPhoneの美しいデザインを損なってしまうという理由から、故スティーブ・ジョブズ氏はiPhoneケースが大嫌いだったという。それでもユーザーの多くはiPhoneケースが好きだ。それはiPhoneを保護するという実用性の他にも、巷にあふれて無個性化したiPhoneからほんの少し脱却したいという思いがあるのだろう。中にはケースにあいた無数の穴に糸と針でステッチを施し、完全オリジナルなケースを作れるという商品もある。

 ただ、そうしたこだわり派にとって困った事態が起きることもある。新しいiPhoneの登場だ。新しいiPhoneは手に入れたいが、こだわって選んだり作ったりしたケースも捨てがたい。

 だが、そうした悩みは3Dプリントの普及によって過去のものになる。オリジナルの素材を決めれば、後はどんな機種にでも対応できるのだ。例えば、オランダのPolychemyは個人の指紋をモチーフにした(文句なしに)オリジナルのiPhoneケースを3Dプリンターを使って制作・販売しているが、同じモチーフでBlackBerryにも対応している。新しいiPhoneへもすぐに対応可能だろう。また、3DデータのマーケットプレイスであるShapewaysでも数々のiPhoneケースの3Dデータが公開されている。写真はiPhoneの音声アシスタント「Siri」をイメージした顔が浮き上がった幻想的なiPhoneケースだ。例えば、ほしいかどうかは別として、代々のiPhoneに対応した自分の顔の3Dモデルがついたケースもできそうだ。

 これで新しいiPhoneが出るたびに複雑な気持ちになることもなくなるに違いない。

(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)

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