マイクロソフトが「空間コンピューティング」という構想を発表したのは2008年のことだった。デスクトップの3D化であれば「BumpTop」などがあったが、空間コンピューティングは見た目の3D化に留まらず、シームレスに情報にアクセスし、生産性を高めることなどが特徴として挙げられていた。

 ただ、こうした3次元空間を扱ったソリューションは、わかりやすい見た目のインパクト以外に、新しい利用シーンを想像するのが難しかったのも事実だ。思いつく用途にゲームやアバターコミュニケーション、建築設計時のシミュレーションなどはあるが、従来の技術となにが違うのか、ピンとこなかった人も多いに違いない。

 先頃発表された2D/3D空間データベース「SpaceBase」も最初の印象はそうしたものだった。しかし、詳しく見てみるとSpaceBaseは単に3D空間を扱うサーバーというだけでなく、リアルタイムに極めて大量の3D空間内オブジェクトを扱うことができるものであることがわかる。

 用途としてはやはり最初にゲームが挙げられているが、新たな利用用途のひとつに位置情報サービスが挙げられている。従来、ユーザーが受け取る地域情報はビルや店などの静的情報だけであったが、これに行き交う多くの車や自転車、バイク、飛行機までもがリアルタイムに把握できる仕組みを構築可能ということだ。

 もちろん課題も多い。大量のデータを扱えるにしてもどうやってそれらの移動データを得る現実的な解はまだないし、本当に役に立つのかもわからない。私達がゲームを超えて発想できるのはもう少し先になりそうだ。

(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)

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