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「ケータイ」「スマートフォン」「ネットブック」「ノートPC」
モバイル環境で利用するネットデバイスを指す呼び名は多い。そういえばウルトラモバイルPC(UMPC)というのもあった。マイクロソフトでは「スモール・ノートブックPC」とも呼んでいるし、もっと一般的に「ミニノートブック」もある。
そして、こうした分け方を元に「ケータイ」と「スマートフォン」、「ネットブック」と「ノートPC」というように、区分同士を比較するということがしばしば行われてきた。

ただ、これらは厳密に分けられているわけではないし、メーカーやユーザーの間でも少なくともそういった共通認識はないと理解している。例えば、インテルはネットブックを画面サイズが10インチ以下のものと定義しているが、DellやSamsungなど他メーカーではこれを超えるサイズのものも「ネットブック」と呼んでいる。ケータイとスマートフォンを画面の大きさや機能の高さで分けることも難しいだろう。湯川鶴章さんもエントリー「スマートフォンvsケータイ、勝つのはケータイだ」の中で定義に苦労している。そこでは便宜的にWebブラウザのタイプで分けていたが、やはり苦しい。ケータイブラウザが搭載されていない、もしくはメインがケータイブラウザ以外のWebブラウザである機器をスマートフォンとするのであれば、ネットブックもスマートフォンになる。「ケータイキャリアのネットワークに繋がらないからダメ」というのもワイヤレスWANに対応しFOMAカードをそのまま挿せるVAIO Type P(VGN-P80H/W)はどうなのか、など、いくらでも境界をあいまいにできてしまう。詳細は割愛するが、OSでの区分(Androidはスマートフォン用途だけではない)、形状での区分(先のディスプレイでの定義のように曖昧さが残る)など、区分の仕方に決め手はないといってよい状況だ。
「比較する目的ごとに、適切に定義しなおせばよい」ということもできるが、ではそもそも都度変わってしまうような区分に意味はあるのかという疑問もわく。例ではケータイとスマートフォン(と一部ネットブック)をあげたが、同様のことはそのままネットブック、ノートPCへと広げられるだろう。
AMDのCEOであるDirk Meyer氏も2009年1月に行われた決算発表の電話会議で「ネットブックとノートブックの区別は今後、なくなるだろう」と述べたというが、その記事を読んだときに違和感を覚えたのは区分に対する前述の考えがあったからだ。
湯川鶴章さんは先のエントリーで「モバイルネットの世界は、スマートフォンよりケータイが主流のまま進んでいく」とし、その理由を「すべてのサイトはPC画面に最適化したサイトと、モバイル機器に最適化したサイトの少なくとも2つを持つようになるから。いずれそうなると思うからだ。」と記している。
さらに、

「iPhoneもフルブラウザの操作性がウリなんで、スマートフォンという見方が今のところ主流なんだけど、iPhoneの画面の大きさに最適化されたサイトが多くなってきているし、(中略)。この小さな画面に最適化されたコンテンツの山が、iPhoneの最大のウリになっているのであれば、iPhoneは上の定義によるとケータイに属することになる。」

と述べている。
「長期的には、みんなケータイになっていくんだ。」とあるが、ブラウザに最適化された状態でコンテンツを利用できる機器を「ケータイ」というのであれば、「IE7で適切に表示できるコンテンツが大量にある」ネットブックやノートPCも「ケータイ」ということになる。
つまり、「ケータイしかない」から必然的にケータイが勝つということになる。であるならば、ブラウザ別で定義したが故に「ケータイが勝つ」という結論になった、とはいえないか。
もちろん、そう定義したのだから間違いではないが、ブラウザに最適化した形でコンテンツを配信するということはPCでも行われている。最適化度合いの大小によって区分するのであれば、それもまた境界が曖昧になってしまう。ブラウザや閲覧環境ごとに最適化されていくという点は僕もそう思う。たが、ブラウザごとの最適化はモバイルデバイスの区分を定義するものではない。これはコンテンツ提供側が、コンテンツをあまねく浸透させるために行っている。
僕の結論は「ケータイ、スマートフォン、ネットブック、ノートPCといった名称はユーザーの個別の商品に対する理解を助けるために提供側が用いるものであり、厳密に定義される性格の区分ではない」ということだ。
「これはケータイです」「これはネットブックです」といった実例が判例のように積み重なることで曖昧にイメージすることはできるだろうし、それが利用シーンをイメージする手助けになるだろうが、その具体的価値は商品個別のものだと考えている。
まだモヤモヤと書ききれていないところもあるので、もし、コメントなどあればぜひ。

湯川鶴章のIT潮流 powered by ココログ: スマートフォンvsケータイ、勝つのはケータイだ 

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