この1年の動きを振り返りながら来年の方向性を考えてみると、近年話題になった様々なカテゴリの境界がどんどん曖昧になっていくように感じられる。

 例えば「ソーシャルゲーム」。KLabの上場やgumiの20億円規模の資金調達など、ソーシャルゲームによる成功がプラットフォーム企業以外でも出てきた。そうした中で従来のゲーム業界との比較記事も目立つ。しかし、その間には異なる点も多く、「ゲーム」というカテゴリでくくってしまって良いのかという疑問が残る。これに加え、最近の「ゲーミフィケーション」という言葉の誤解による一人歩きも混乱を助長している。

 他には「タブレット」がある。先頃、今年更に勢いを増したiPadの影響で2012年半ばにアップルが世界一の「PC」メーカーになるという調査結果も話題になった。しかし、iPadはPCとは対極の「モバイル」や「スマートフォン」として語られることが多かったはずだ。いったいiPadとはなんなのか。「タブレット」というカテゴリを作ることはできるが、名前を付けて安心してしまえば「ネットブック」の二の舞になる。

 これらの「カテゴリ」は人間の様々な活動の動線上で、その時の手段として表に現れただけと考えるべきだ。だとすれば「それはゲームか」「それはスマートフォンか、タブレットか、PCか」というように表に出てきた部分だけをみて別々に論じるのは近視眼的になり、本質を見失うリスクもある。人はなぜそれを使うのか、激しい動きの中で、基本に立ち返った発想がより重要になっていきそうだ。

(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)

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