『ニンテンドー3DS』(2月26日発売予定)の予約受付が去る1月20日に開始されたが数時間で予約受付終了という人気ぶりだった。それまで裸眼3Dディスプレイの質や立体視をゲームに取り入れる利点が伝わりにくく、一時は様子見の雰囲気さえあったものだが、さすがといえる。

 任天堂と3Dといえば『バーチャルボーイ』を思い出す人も多いが『ニンテンドー3DS』と『バーチャルボーイ』では同じゲーム機といえども立ち位置が全く異なる。それは3DSが3Dの持つ課題を一気に解決する初の「パーソナル3Dデバイス」となりえる可能性を持つからだ。

 ひとつは3D立体視の視聴環境。3D映像の制作では3Dの見え方を決める「視差調整」と呼ばれる作業が重要になってくるが、どう調整するとどれくらい立体的に見えるかは極めて主観的なものだ。本来であれば一人ずつ調整できた方がいいのだが、3D映画や3Dテレビなど複数人で見るものでは難しい。個人用携帯ゲーム機である3DSなら自分が見やすいように調整が可能になる。

 そしてもうひとつは3Dコンテンツの制作環境だ。以前に本コラムで3Dのキラーコンテンツは3D映画ではなくユーザーが自分で作る3Dコンテンツだと書いたが、これまではユーザーが気軽に3Dコンテンツを作る環境がなかった。3Dデジカメはあるが普通の人はそこまで3Dに入れ込まない。3DSはゲーム機でありながら3Dカメラ&再生機としても利用でき、一気に「3Dで撮れる」人口を増やしそうだ。

 これらは企業にとっても3D表現をマーケティングに活用する際の下地となるだろう。

(本記事は「東京IT新聞」に寄稿させていただいた記事の元原稿です。許可を得てアーカイブとして本誌掲載の1週間後を目処に掲載しています。本誌は画像付きですが、こちらはテキストのみの掲載になります。)

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